OnlyOneOfは『Produced by [ ], Pt. 1』でヒップホップPDと手を組んだ

アイドルとラッパーサイドの新たな関わり方

 

 

 

韓国では他の国に比べて、アイドルとラッパーが楽曲制作をする機会が多い。アイドルの曲にラッパーが参加したり、ラッパーの曲にアイドルが参加したりと様々。前回のブログではRed VelvetのジョイとCrushのコラボ曲『Mayday』を紹介した。

 

leggodesu.hatenablog.com

 

 

このブログでもアイドルとラッパーのコラボについてなのだが、今回は少し様子が違う。かなり珍しいパターンで正確に言うとラッパーとのコラボではなく、ラッパーサイドの陣営とのコラボだ。

 

K-Popアイドルの曲も韓国のラッパーの曲も基本的には大きな差はない。バンドの演奏に合わせて歌うのではなく、ビートに合わせて歌っているのでヒップホップとそういった点では同じである。雰囲気が違ってもやっていること自体は同じなのだ。だからこそ両者の間で音楽的な壁が少なく、コラボを違和感なく行うことができる。

 

ただやっていることは同じと言ってもビートの特徴が全く違う。K-Popは1曲の中で様々に変化する。Aメロ、Bメロ、サビ、ラップパートなどいくつもの変化がある。それにダンスを行うのでビートも様々に変化した方がダンスに抑揚もつく。

 

それに対してヒップホップはK-Popに比べると単調なビートになる。もちろん多少の変化はあるが比較するとどうしても平坦に感じる。ヒップホップの場合、ビートで緩急をつけるというよりラップのフロウで緩急をつけるのがメイン。なので性質が違うためアイドルとラッパーのコラボに比べて作曲家陣営が混じることは圧倒的に少ない。餅は餅屋という言葉がぴったり当てはまる。

 

 

しかしそんな壁を無視してヒップホップのプロデューサーだらけのEPをリリースしたアイドルグループがいる。今回はそんなグループの新曲を紹介しようと思う。

 

 

 

 

OnlyOneOfとヒップホッププロデューサーたち

 

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©︎2019 RSVP ENTERTAINMENT ALL RIGHTS RESERVED | Photo by Twitter(@OnlyOneOf_twt)

 

OnlyOneOfがリリースしたアルバム『Produced by [ ], Pt. 1』は3曲入りで、その全ての新曲をヒップホップのプロデューサーが作曲をしている。アルバムのタイトルになっているProduced by [ ]という言葉がものすごくしっくりくる。ジャンル関係なく韓国で有名なプロデューサーを毎回引っ張ってきますよ!ということでしょう。今回のPt. 1では韓国で人気のヒップホップ界隈のプロデューサーたちに曲を作ってもらいました!という話。

 

他ジャンルの有名人たちが曲を作るということは実はかなり意味のあることだと思う。OnlyOneOf視点から考えれば普段歌うことのできない雰囲気のトラックで歌うことはスキルの向上に繋がるし、単純に新鮮だと思う。プロデューサー側の視点から考えると普段自分たちの曲を聴かない層にも知ってもらう機会になる。

 

しかも面白いことに今回選んだプロデューサーたちはプロデューサータグがある人ばかり。世界的にヒップホップ界隈ではプロデューサーが自分の作ったトラックに自分の証的なものをつけることが多い。これは他のジャンルに比べて圧倒的にプロデューサーの知名度が高いからだと思う。文化的にヒップホップリスナーはこの曲だれのプロデュースかな?と調べることが根付いている。日本のK-Pop好きの人で毎回誰が作った曲なのかチェックしている人なんてごく少数だろう。J-Popでも同じで日本の有名な作曲家でパッと出てくる人なんて数人。業界内で実力も人気もある人がいたとしても、一般層だと顔も名前も知られていない人はいっぱいいるだろう。

 

それに比べてヒップホップでは人気プロデューサーが人気ラッパーと同じぐらい有名なんてことはいっぱいある。わかりやすく言えば小室哲哉みたいな知名度の人がいっぱいいるというわけだ。小室プロデュースの曲といえば思いつくものがいっぱいあるし、小室哲哉の顔も認知されている。そんなわけでアーティストの曲で作曲した人の名前をアピールするなんて邪魔だ!と言う人もヒップホップ界隈では全然いない。プロデューサーが自分を主張することに何も思わない。なんならブランドタグ的な効果ももたらす。格が上がるというか。なので今回プロデューサータグのある3人の人物を選んだことはOnlyOneOf側としてもプロデューサー側としてもいいことだ。

 

 

ちなみにパク・ジニョンは何年か前からJYPという自分のプロデューサータグを使うのをやめた。理由としてはそれが曲の最初に入ることでパク・ジニョン自身の印象で曲の評価が変わってしまうと嫌だからという理由らしい。例えばTWICEの曲でJYPという音が最初に入った曲に嫌いなものがあったとする。そして新曲がリリースされた際に再びJYPという音が最初に入っていたら「またパク・ジニョンかよ。前の曲嫌いやったわ!」と思ってしまうかもしれない。そうするとその新曲の正当な評価ができなくなってしまう。前回の印象に引っ張られて今回の曲もいまいちに感じてしまうかもしれない。そういうことになることを恐れたみたい。ちなみにヒップホップ界隈にももちろんタグを使わない人はいる。パク・ジニョン的な考えの人もいれば単純に目立たず影にいたいという人もいる。

 

 

話がかなりずれてしまったしグダグダな文章になってしまったが、気を取り直してそんなヒップホッププロデューサーたちが参加したOnlyOneOfのアルバムを聴いていこう。

 

 

 

 

 

OnlyOneOf - Produced by [ ], Pt. 1

 

 いつもアルバムを紹介するときはアートワークか実物の写真を貼るのだが、なぜか公式のSNSでアートワークの写真がアップされていなかったので今回は省略する笑。今回はプロデューサーについても紹介していこうと思うので、ちょくちょく違うアーティストの曲も貼っていこうと思います。では早速スタート!

 

 

1. OnlyOneOf - designer (Prod. BOYCOLD)

 

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1曲目はBOYCOLDによるdesigner。人気実力ともに兼ね揃えた若手プロデューサーでSik-Kなどの曲を手がけている。そんなBOYCOLDとOnlyOneOfとの楽曲はというとめちゃくちゃかっこよくて相性も文句なし。個人的にdesignerがいちばん好き

 

今回の曲はヒップホップのプロデューサーだけどヒップホップの要素は省いたキャッチーで聴きやすいトラック。本格的だけどキャッチーでポップな曲が韓国のヒップホップの本格的な部分を取り除いてキャッチーさに全振りした感じ。ヒップホップ側の壁を超えてアイドルサイドにちゃんと足を突っ込んでいる感じがする。ヒップホップを提供するのではなく、ちゃんとK-Popアイドルに楽曲を提供する用になっているというか。このうまい配分はさすが。

 

 

OnlyOneOfも完全にこのトラックを自分たちのものにしている。トラックの雰囲気を生かした歌。それにダンスも抜群でパフォーマンスを見るといい感じのミステリアスさというか絶妙な世界観を感じられる。映像なしで楽曲単体でももちろんかっこいいが。

 

Designer - OnlyOneOf

 

 

 

Sik-K - lil baby

 

lil baby (Prod. BOYCOLD) - Sik-K

 

 

せっかくなのでBOYCOLDがプロデュースしたお気に入りの曲を。lil babyはSik-Kの曲の中でトップクラスで好きな曲。結構単調なトラップベースのビートなのだが、無駄がなく突き詰められた感じがめちゃくちゃかっこいい。メロディーラインも流れるようでかっこいい。もちろんSik-Kのラップも最高。フロウの変化も抜群で比較的単調なビートでも飽きることは一切ない。

 

 

2. OnlyOneOf - angel (Prod. GRAY)

 

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今回のタイトル曲となるangelはラッパーとしてもプロデューサーとしても大人気のGRAYが手掛けている。angelももちろんかっこいい。この曲もdesignerと同様しっかりアイドルサイドに足を突っ込んでいる。ものすごくGRAYっぽさのあるトラックだけど普段の楽曲よりだいぶK-Popっぽいというか。曲の展開がしっかりk-Popアイドルの曲。圧倒的なノリの良さとキャッチーさはさすが。なんとなくCIXのMovie Starが好きな人とかにハマりそう。

 

 

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OnlyOneOfの歌い方がラッパーではなくアイドルなので曲単体でしっかり聴くとアイドルの曲って感じがものすごくする。これはすごく新鮮でGRAYは今までアイドルの曲を作ったことはほとんどない。まあ今回登場する3人ともそうなんだけど笑。ヒップホップがベースの人たちが余裕でこういうの作れるのはやっぱりすごいよね。ステージで披露している姿とか完全にアイドルって感じだし。しっかりOnlyOneOfの畑でやっている感じがいい。

 

Angel - OnlyOneOf

 

 

 

SHINWHA - Alright

 

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GRAYが関わった他の男性アイドルの作品がこちら。SHINHWAのAlright。OnlyOneOfと神話というとんでもない振り幅。OnlyOneOfの今回のEPがいかにやんちゃかわかるよね笑。普段アイドルと仕事をしない人を引っ張ってきている感じ!神話のばりばりのレジェンドなのに製作陣にGRAYを関わらせる柔軟さもすごい。

 

Alright - SHINHWA

 

 

 

 

 

3. OnlyOneOf - Heartbreak Theatre (Prod. Cha Cha Malone)

 

Heartbreak Theatre - OnlyOneOf

 

 

最後の曲はCha Cha Maloneプロデュース。Jay Parkとの組み合わせがいちばん有名だろう。Heartbreak Theatreは他の2曲と違ってR&B系のがっつり歌モノで、K-Popのアルバム定番の最後の曲バラード系のスタイル。前作のLine Sun Goodnessに収録されていたHeartbreak Terminalと同じ流れだが曲の雰囲気は全く違う。

 

 

曲としては全く違うがOnlyOneOfのHeartbreak Theatreと似た雰囲気があるCha Cha Maloneプロデュースのアイドルの曲があるので紹介しておこうと思う。

 

 

LOONA/Kim Lip - Twilight

 

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紹介するのはLOONAが完全体としてデビューする前にリリースされたキムリプのソロ曲であるTwilight。この曲もCha Cha Maloneが作曲しており、当時めちゃくちゃ驚いた曲。

 

Cha Cha MaloneといえばJay Parkだがアイドルともたまに曲を作っており、今回の3人の中ではいちばんアイドルと仕事をしている。しかしやはりメインはヒップホップ界隈なので担当したアイドルはかなり限られている。しかもRed VelvetやSHINHWA、KARA、B1A4、U-KISSなど有名どころばかり。そんな中まだ全然有名じゃなかったLOONAのメンバーのソロ曲、しかもカップリングの曲を担当したのは本当にびっくりした。

 

 

そんな個人的に記憶に残っているキムリプのTwilightもR&B系の歌モノ。実際に聴いてもらうとHeartbreak Theatreと近い雰囲気を感じてもらえるだろう。基本Jay Parkたちと曲を作るときはもっとキャッチーな曲が多いので、そのイメージがある人だと今回のOnlyOneOfとの曲は普段と違うように感じてしまうだろう。でもキムリプのTwilightを聴いてみると今回の曲も確かにCha Cha Maloneのスタイルだとわかるだろう。

 

 

 

というわけで今回はOnlyOneOfの新しいEP『Produced by [ ], Pt. 1』の紹介でした。全曲違うジャンルのプロデューサーと手を組んだアルバムは今までになかった気がする!それぐらい珍しく面白い作品でした。

 

今回はヒップホップ界隈のプロデューサーばかりだったけど、Pt. 2ではどのジャンルの人たちと曲を作るのかすごく楽しみ。K-Pop界の大物たちなのか、それとも全員海外勢なのか。いくらでも広げることができる面白いプロジェクト!最後にProduced by [ ], Pt. 1のフルと日本公式Twitterのリンクを貼っておきます。ではまた!

 

Produced by [ ], Pt. 1 - OnlyOneOf

 

 

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Apple MusicでK-Popをメインにプレイリストを公開しているので、よければぜひ聴いてみてください!

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