LOONAとライアンジョンによるNot Friendsがイダレ史上最高にヒップホップしてた件

LOONAがRYAN JHUNとコラボ曲をリリース

 

ガールズグループのカムバックがめちゃくちゃアツい!

 

1日のfromis_9から始まり、24日のITZYまで現在発表されている女性アイドルたちのラインナップを見ただけでも、2021年9月の新曲ラッシュがとてつもないことは理解できるだろう。個人的には現役アイドルの中で好きなグループベスト5の全てが9月に新曲を出すことになっており、過去最高に楽しみな1ヶ月間となっている。

 

所属事務所であるBlockBerry Creativeまわりのネガティブなニュースが話題になっていたが、今月の15日に無事日本デビューをすることになったLOONA(今月の少女)はすごく楽しみなグループの1つだ。

 

 

そんなLOONAがサプライズ的な形でイルデの楽曲に先立ち、韓国で1つの新曲をリリースした。その曲の名前はNot Friends。K-Pop界で有名なプロデューサーであるRyan S. Jhun(ライアンジョン)のプロジェクトのゲストにLOONAのメンバーが選ばれた。

 

 

RYAN JHUN PROJECT

 

 

今回LOONAが参加したのはライアンジョンによる「RYAN JHUN PROJECT」というもので彼がプロデュースを担当し、様々なアイドルたちが客演として歌を担当するというもの。前作のManiacにはNCT Uのドヨンとヘチャンが参加をしていた。

 

 

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Photo by Twitter(@ryanjhun)

 

そんなRYAN JHUN PROJECTの第2弾としてゲスト参加したのはヒジン、キムリプ、ジンソル、イヴの4名。今月のイルデに関しては前もって情報が公開されていたが、ライアンジョンとのコラボについてはサプライズ的な発表になっていたので驚いたOrbitも多いだろう。しかも今回の楽曲「Not Friends」は今までのLOONAにはなかったヒップホップの要素がかなり強く、音楽面でのサプライズも感じられた

 

 

今回のブログではそんなLOONAの新曲を紹介するとともに、どこがヒップホップ的なのか解説も行なっていこうと思う。新たな一面を披露したLOONAについて詳しく知りたい人は、ぜひチェックしてほしい。

 

 

 

 

 

 

LOONA X RYAN JHUN - Not Friends

 

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Photo by Twitter(@ryanjhun)

 

先ほども書いた通り、今回のコラボはライアンジョンのプロジェクトの一環で、「RYAN JHUN PROJECT : [MAXIS BY RYAN JHUN Pt. Ⅱ]」としてLOONAとの楽曲はリリースされた。

 

 

LOONAとライアンジョン

 

2010年からK-Popの曲にクレジットされるようになったライアンジョンは、初期の頃からイ・ヒョリSHINee、Girl's Dayといった人気アイドルの楽曲をプロデュース。今では月に数曲は彼が携わった作品がリリースされているほどの人気者。つい先日ブログにしたfromis_9のTalk & Talkも彼が作曲に携わっている。

 

LEGGOですブログ: PLEDISに移籍したfromis_9だけど、Talk & Talkでも彼女たちのストーリーは継続中!

 

이달의 소녀(LOONA) - PTT (Paint The Town)

 

 

そんなライアンジョンとLOONAの関係性が始まったのは意外にもかなり最近で、最新のアルバム[&]に収録されている&、PTT (Paint The Town)、WOW、Be Honestの4曲で初めてLOONAと仕事をした。なので関係性としてはビョンギ期、イスマン期を終えた「第3フェーズ」からのスタートとなる。このLOONAのスタイルの変化にはコアなファン、つまりOrbitっぷりが高ければ高いほど賛否両論となっているが、毎回人気のプロデューサーたちを裏方に組み込んでいるのはBlockBerry Creativeおそるべし!といったところ。

 

LEGGOですブログ: 【LOONA】PTTや[&]に対する議論をした段階であなたはもう堕ちている

 

 

LOONA史上最高にヒップホップな1曲に仕上がったNot Friends

 

 

最新アルバム[&]でがっつり手を組んだ両者。今度はライアンジョン名義の楽曲にLOONAのヒジンにキムリプ、ジンソル、イヴが参加をした。こうやってODD EYE CIRCLEのようなユニットではなく、個人としてピックアップされて楽曲を作る感じはなんとなくソロの時期を思い出させてくれる。よく考えたらゴウォンのSee Sawとかキムリプとチュウの3人ってユニットでもないのに多いよね笑。

 

そんな4名とライアンジョンによって出来上がったNot Friendsは、まさかのこれまでにないぐらいヒップホップな楽曲となっていた。ほんとびっくりしちゃったよね。イントロから最後までずっとそっちのノリなんだもん。おそらく普段からジャンルとしての「Hip-Hop」を聴いている人なら全員がNot Friendsからヒップホップを感じるだろう。少なくとも自分はそのように感じた。これほどダイレクトに感じたのはGD&TOPのZUTTERぶりかもしれない。

 

LOONA/Kim Lip - Twilight

 

 

今までのLOONAの楽曲でいちばんヒップホップを感じるのはキムリプのTwilightだろう。この楽曲自体はR&Bが軸となっているのだが、ブラックミュージックという括りで考えると両者は親戚のような立ち位置となっているので、ヒップホップとR&Bはかなり近しい存在である。さらにTwilightのプロデュースはAOMGのメンバーとして有名で、Jay ParkとともにH1GHR MUSICを立ち上げたCha Cha Maloneが行なっている。つまり韓国のヒップホップ界の大物プロデューサーがアイドルの楽曲を手がけたのだ。そりゃヒップホップのノリを感じて当たり前って話。キムリプ以外の楽曲だと、意外にCuriosityなんかもヒップホップを感じる。

 

ただTwilightにしたってK-Popの次にヒップホップが来るか?と聞かれるとそれは違う。Curiosityはもっと薄い。最近のK-Popでは「ガールクラッシュ=トラップ」という印象があるが、LOONAの場合は逆にトラップ色を薄くしており、aespaのBlack Mambaみたいなトラップが軸となった楽曲はリリースしていない。つまりクラッシュをヒップホップで表現をしてこなかった。

 

 

つまりK-Popに限らず、J-Popやポップスでもトラップが用いられており、アメリカでは数年前にロックを抜いて聴かれているのが1位のジャンルとなったヒップホップをLOONAは基本採用していない。K-Popでもトレンドを通り越して当たり前になったトラップ、ひいてはヒップホップを採用していないLOONAが、これほどヒップホップ的な楽曲を披露したのは本当にサプライズだ。

 

Not Friendsがかなりヒップホップと言ってきたが、普段からK-Popしか聴かない人はどれほど浸透しているかわからないだろうし、ヒップホップ的な音をヒップホップ由来のものだと知らない可能性が高い。それに日本はびっくりするほどヒップホップが流行っていない国なので「どういうこと?」という人も多いだろう。現に今「LOONA ヒップホップ」でツイッターを検索してみたら、Not Friendsをそういうに言っていた人は自分しかいなかった笑。もちろんさらっと検索しただけなので、こういう感想の人は自分以外にもたくさんいるとは思うが。

 

実は現代のK-Popとヒップホップの関係性が深いことに気づいていない人も多い?

 

ここで1つ疑問が生まれた。それは「実は〇〇って曲がヒップホップ色強いってこと気づいていない?」ということだ。このブログではあの曲トラップだよね!みたいなことを普通に書いているが、ブログを読んでくれている人はそう思っていない可能性がある気がしてきた。例えばIZ*ONEのHighlightのサビ前なんかはもろトラップのノリだし、OH MY GIRLのDolphinでさえトラップがしっかり顔を覗かせているパートがある。トラップじゃなかったとしてもヒップホップ的な音が採用されている曲なんで山ほどあって、もう関係が深すぎてヒップホップから引っ張ってきているのかK-Popから引っ張ってきているのかわからないレベルで。

 

ってなわけでNot Friendsにヒップホップを感じていないOrbitも結構存在してる気がしてきた。もちろんPTT (Paint The Town)と共通している部分もあるけど、K-Popにプラスしてジャンルをつけるなら両者は全く違うものになる。なのでここからはいかにヒップホップ的なのかを解説していこうと思う。

 

 

Not Friendsがヒップホップ的である点

 

ここからは細かい部分をピックアップしながら、「なぜNot FriendsをLOONA史上最高にヒップホップ的な楽曲だと思うのか」ということを解説していく。

 

自分はラッパーやビートメーカーでもないし、音楽のプロでもない、ただの素人の主観的な解説であることをお忘れなく。あと比較としてピックアップした曲はわかりやすさよりも、K-Popしか聴かない人でも聴いたことがありそう、つまり知名度のある曲を基本的に選んでいます。またギターはギターでもメーカーが違えば音の雰囲気が違うのと同じで、今回ピックアップした例とNot Friendsに関しても正確には違う音の可能性はあります。ラーメン二郎は店舗によって味が違うと言うけど、大きく言えば二郎は二郎で変わらないよね!的な感じでどうぞ。

 

目立ちまくってるスネアとクラップがかなりヒップホップ的

 

 

Not Friendsのメロディ以外でいちばん目立っている音があると思う。イントロから鳴っている木を叩いたような「チャッ」みたいな音がスネア。それとほぼ同じ雰囲気で使われていて、さらっと聴いているだけでは音が違うことに気づかな人も多そうな音で、手を叩いたような音がクラップである。イントロとサビ前、サビ、2番終了時から最後までがスネア、1番と2番のスネア以外の部分がクラップとなっている。

 

これらの音はK-Popでもたくさん使われており、ITZYのNot Shyが有名だろう。最初のイントロ部分やサビ前などがクラップで、1番の歌い出し等はスネアになっている。またBLACKPINKとセレーナゴメスのIce Creamではもうええわ!ってぐらい木を叩いた系のスネアが使われているので、K-Popファンにも馴染みがあるだろう。

 

 

これらの音は結構前からヒップホップで使われており、特に木を叩いたようなスネアの音は多用されすぎてオーバーユーズドと言われたことがあるほどだ。Post Maloneと21 Savageによるrockstarでも頻繁に使われており、LOONAやITZYと同様にぼーっと聴いただけでも耳に入ってくる。この木を叩いたようなスネアはYoung Chopというラッパーが多用したことで「Chop Snare」などと言った名前で広く知られている。rockstarは2017年の曲なので比較的新し目だが、10年代前半の楽曲でも普通に採用されている。どの音かわからなかったら下の2秒の動画を見てみてね!

 

 

 

クラップ(手を叩いたような音)に関しては、当たり前すぎて例をピックアップするまででもないので割愛する。適当に5曲ぐらい聴いたら絶対使われてると思う。

 

ギターの音するんですけど、、、

 

 

「目立ってる音がヒップホップなのはわかったけど、メロディでバリバリギターなってるじゃん」と言う人もいるだろう。確かにビート全体の軸となっているメロディの部分はヒップホップの音ではない。生バンドみたいなギターの音しちゃってるし。弦楽器って一般的にイメージされるヒップホップとは繋がらないし。ただもうそんなヒップホップの時代はとっくの前に終わっている。今では上に貼ったTrippie Reddのようにメロディ部分はシンセがっつりのEDMノリ、ただ他の部分はがっつりトラップという「RAGE(レイジ)」というビートのジャンルがどんどん人気になってきている。

 

こういう風に楽曲の軸となる部分に異なったジャンルのノリを取り入れて、他の部分でしっかりヒップホップを表現するという方法が当たり前のものとなっているので、ギターのようなロックやバンドの方面から引っ張ってきても不思議じゃない。ってかそういう曲もいっぱいある。異なったジャンルとのミックスをわかりやすくするためにEDMを取り入れたRAGEをピックアップしただけ。先ほどのクラップが上の曲でたまたま使われているので、ついでに確認どうぞ。

 

ラップせずに歌ってるんだけど、、、

 

 

「ヒップホップって言ってるけど、LOONAの誰もラップしてないじゃん」と言う人もいるだろう。その通り!ラップは一切していない。ただラッパーはラップのみをする人という考えは先ほど以上に令和の時代では通用しない。これはK-Popしか聴かない人でもわかっている事実だろう。韓国を代表するラッパーのSik-Kだって長い間ラップをしていなかった。何かのタイミングで「2年ぶりにラップしました」みたいなことを言っていたし。世界的にもそうだし、韓国では特に歌モノのヒップホップが多い。なのでラップしているかどうかはヒップホップの基準にするのは難しい。

 

ただどんな歌モノでもヒップホップとするわけにはいかない。では何を基準にすればいいのか?それは個人的に「韻を踏んでいるかどうか」だと思っている。全て歌っていたとしても韻を踏むことでリズムが生まれ、ヒップホップ的な雰囲気を感じさせてくれる。この韻を踏むという行為はK-Popではかなり当たり前となっており、全くヒップホップ要素のない曲であろうが、歌っているのがアイドルであろうが、必ずと言っていいレベルで韻を踏む。なのでビートがちょっとヒップホップ的になっただけで、自動的にそっちのノリを感じるように元々できている。K-Popがヒップホップの影響を受けているというのは、こういった部分も大きな要因となっているだろう。

 

 

ドレイクが2009年にBest I Ever Hadで世間に知られたときは、「あいつは歌ってるだけでラップをしていない。ヒップホップじゃない」みたいなことをリスナーだけでなく同業者からも言われていたが、そんなことを言っていた人たち元気っすか?今の時代にそんなことを言う人は全くいないだろう。スラムダンクの有名なセリフで「リバウンドを制するものはゲームを制す!」というものがあるが、実はこれ現代のバスケットボールでは通じないものとなっている。このように時代が進めば何事も進化する。なのでラップをしているかどうかというのは大事な要素であることは間違いないが、それが全てを決定するというものではないということを覚えておこう。日本人からも人気がある韓国のラッパーってまじで大体ラップじゃなくて歌ってるからね!

 

K-Pop的なビートの変化が全くない

 

K-Popの特徴といえば、いい意味でうるさい音と激しいビートチェンジだ。一般的なポップスに比べて音の種類が多い上に大きい、2番の最初に急にトラップになる、終盤に騒ぎ始める、といったゴチャゴチャっぷりがK-Popの面白い部分。一般的な曲はここまで極端に変化しない笑。EXIDのBoyやBLACKPINKジェニのSOLOといった曲はK-Pop的に考えるとかなりシンプルに感じるが、ビートの落ち着きっぷりという意味ではそちらの方が普通。そしてヒップホップ的。

 

なのでK-Pop的な激しいビートチェンジがなく、基本的に最初から最後まで同じテンションで続くNot Friendsは一般的にイメージされるK-Popよりも、ヒップホップの方が違いと言えるだろう。

 

トラップの象徴であるハイハット

 

その曲がトラップやヒップホップの影響を受けているか判断するいちばんの基準は、ハイハットで間違いないだろう。機械的な連続するハイハット「チッ、チッ、チッ、チッ」が聴こえたら、トラップの要素が少なからず入っている。自分がK-Popを聴いたときに判断するポイントになっているのもこれ。Not Friendsでは20秒あたりから聴こえてくる。

 

ガールクラッシュはもちろん、最初の方に述べたオマゴルの曲でも聴こえてくる。2017年あたりから本格的にK-Popで広まった気がするので、それ以降の作品だと結構な割合で確認することが可能なはずだ。この機械的ハイハットの音は「Not Friendsはヒップホップ的である点」でピックアップした動画のほぼ全てで似た音を確認できるので、今回は例を省く。

 

808 Glide的なノリ

 

 

最後のこれはかなり伝わりにくいし、曖昧な感じなので難しいのだが、Not Friendsの低音が強くなるパートがあると思う。サビ前からサビにかけてのパート。この低音が808 Glideというもののノリにかなり近い。K-PopだとSTAYCのSO BADがわかりやすくて「ブゥーン」みたいな感じの音だ。「やおや」という名前でも知られている、日本のローランド社が1980年に発売した「TR-808」というリズムマシンがあるのだが、これがヒップホップというか音楽に大きな影響を与えた。もうこれがびっくりするほどヒップホップと関わりがあって、日本で刺身を食べるとき99%の確率で醤油が存在する。それぐらいの勢いでヒップホップの側にはTR-808がある。

 

現代のヒップホップではTR-808の低音が刺身と醤油レベルで採用されており、ビートの低音などのことを808と言ってしまうぐらいの勢いだ。そんな808の音をグライド、つまり滑らせることを808 Gildeのような言葉で表現している。滑らせるというよりは音の感覚でいうと、ひねって伸ばしているような雰囲気。だから「ブッ」ではなく「ブゥーン」という感覚。「ブッ、ブッ、ブゥーン」みたいに聴こえる低音あるでしょ。

 

 

このノリの音がいちばんわかりやすいのは、やっぱりTravis Scottのgoosebumpsでしょ。途中からブゥーンって鳴りまくってる。最近では「Drill(ドリル)」というヒップホップのジャンルで使用されることが目立っているが、K-Popでは今も割と愛用されている印象。ちなみにこの音をいちばん感じれるK-PopはITZYのTHAT'S A NO NOの2番の最初、リュジンのパートがとんでもなくヒップホップ。先ほど言ったハイハットも鳴っているし、ボーカルではリュジンちゃんがオートチューン使ってるからね!

 

 

逆にNot FriendsがHip-Hopではない理由

 

こんなにもヒップホップ的な要素が詰め込まれた1曲になっているが、LOONAもライアンジョンもK-Popのアーティストだ。なのでNot Friendsはヒップホップ的ではあるが、Hip-Hopでは決してないというのが事実。ではHip-Hopではないと感じる部分はどこなのか?それについて説明していこう。

 

音のバランスが決定的に違う

 

音のバランスが違うことで、Not FriendsはK-Popの曲であるということをものすごく実感する。まず低音の雰囲気が全くの別物。ヒップホップ、特にトラップでは「ボーカル=ビート」もしくは「ボーカル<ビート」のような感じ方になっている。もちろんラップや歌を蔑ろにしている訳ではないが、ヒップホップ好きはビートや808の音を聴いていると言われるほどに、音としての聴きごごちが重視されている。現にラッパーの中には「俺の歌や歌詞に意味なんてない。ただ楽しめる音を作っているだけ」みたいな発言をする人も結構存在している。オートチューンを使ったり、癖のあるフロウを披露するのも音としての聴きごたえが重視されているから成り立っている部分も多いだろう。

 

それに対してK-Pop、ここでいうアイドルの曲はそんなわけにはいかない。あの子の歌うパートが短い!みたいな文句がファンから出てくる、つまり推しの歌っている声や姿をしっかり確認したいということ。ってことはビートのインパクトが強くて、歌声が弱い印象になるなんてことは絶対にあってはいけない。

 

 

そんなこともあってか、K-Popではヒップホップレベルで低音がガツンと響くような楽曲は基本的に存在しない。もちろん意図的に目立たせる曲などもちろん存在しているが、比較的スムースな印象だ。それにわざと歪にして目立たせるというテクニックも存在しているが、アイドルは基本綺麗な感じのイメージで行きたいはずなので、そういう曲もまず不可能。例が極端だけど、XXXTENTACIONのLook At Me!みたいなテンションのビートの曲は、韓国アイドルからはほぼ間違いなく生まれない。

 

なのでNot Friendsの低音のインパクトは弱めで、ボーカルとメロディのラインが目立っている。それ以外で唯一主張が激しいのがスネアとクラップだが、頻度が多いとはいえシンプルな上に単調なので脅かすほどの影響はない。

 

みんなで合唱なんてしない

 

ビート面での違いを答えたので、次は歌の部分から。K-Popといえば全員で合唱する部分がかなりの確率である。全員じゃなかったとしても複数人とか。例えばRed Velvetなんてみんなで歌ってる印象あるよね。

 

それに対してHip-Hopではみんなで合唱することなんてまずあり得ない。基本的にターン制で、1番は俺、サビはあいつ、2番はてめえ、再びサビはあいつ、みたいに自分のバースをかまして終了ってのがお決まりだ。韓国のアイドルとラッパーがコラボした楽曲の歌番組とか見たらわかると思うけど、ラッパーは自分の番になったら登場して去っていく印象あるじゃん。それはターン制を採用しているから。あそこを歌って、こっちを歌ってみたいなことはしない。

 

韓国アイドルもターン制を部分的には用いているがラップのみとかじゃない限り、何回も自分の番が回ってくる。もちろんヒップホップでも何回もターンが回ってくることはあるが、サビを一緒に歌いましょ!ってのはまずない。ライブで客を煽るために合唱やさらっとかぶることはあっても、音源でがっつり合唱をしてる曲って1%は確実に切ってる気がする。

 

 

2つだけで生まれる、K-PopとHip-Hopの大きな違い

 

 

共通点と違いについて解説が終わったので、最後に1つヒップホップの曲を聴いてみよう。LOONAとライアンジョンによるNot FriendsとPolo GのBlack Heartedは、

 

  • スネアやクラップのノリが近い
  • メロディがギター、生音弦楽器系
  • 歌っている
  • トラップで用いられる機会的なハイハットが鳴っている
  • 最後までビートのテンションが一緒

 

と共通点が多い。低音の雰囲気は違うが、最近のトラップでは808 Glide的なノリはあまり使用されないので仕方がない。こんなに近い音や雰囲気があるのに、曲として別物なのがお分かりいただけるだろうか。もちろん低音の入れ方とか、ハイハットの鳴りっぷりとかが全く違うので「そりゃ別物に感じるでしょ」と思うかもしれないが、K-PopとHip-Hopなので仕方がない。

 

まず低音のインパクトが全然違う。LOONAの場合はガツンと来る低音は鳴っていない。それにハイハットの音の大きさやインパクトだって全然違う。これはトラップの曲とトラップを取り入れた曲の差がはっきり耳でわかる。Polo Gのようにガツンと低音だけのインパクトがあるアイドルの曲は基本的にはない。ただやはり共通する音も多いので、完全な別物とは言い切れないポイントがあるのもわかるはずだ。

 

 

ここでもう1つ聴いてもらいたい曲がある。それはBIBIのLife is a Bi...だ。この曲もLOONAやPolo Gと同じく歌っているし、ハイハットも鳴っている。LOONAと同じく808 Glide的なノリもあるし、スネアの音の雰囲気も近め。ただこの曲のメロディはギターではないし、ビートの変化もそれなりにある。つまりNot FriendsよりもK-Popっぽい雰囲気が入っているわけだが、それでもLOONAとPolo Gどちらの雰囲気に近いかと聞かれたら、Polo Gの方だろう。やっぱり低音やビートのインパクトがアイドルのものとは全然違う。もっとK-Pop寄りの曲もあれば、ヒップホップ寄りの曲もあるのでBIBIもHip-Hopというよりは影響を受けているアーティストなのだが、LOONAに比べるとヒップホップ的と言えるだろう。

 

このようにK-Popでもアイドルとアーティストによって全然違うというのも面白いポイント。ってかそのままトラップやってたら聴かなくなるしね笑。

 

 

 

 

 

アイドルとしてはかなりヒップホップなK-Pop

 

今回のブログは以上です。かなりヒップホップやトラップの影響を受けているけど、曲としてはどう考えてもK-PopなLOONAとライアンジョンによるNot Friendsでした。おそらく今回の曲よりもヒップホップだ!と言われている曲っていっぱいあると思う。例えばBLACKPINKのPretty SavageとかITZYのGUESS WHOに入っている曲とかさ。でもヒップホップを普段から聴いている人たちは、先ほど述べたヒップホップ的な要素を瞬時に感じちゃうから、圧倒的にLOONAの方がヒップホップ的だと思うはずなんだよね。BLACKPINKやITZYの方がK-Pop的なノリが圧倒的に強い。Pretty Savageは低音強めだけど、K-Pop的ないいうるささが結構するし。

 

というわけでLOONAとライアンジョンのNot FriendsはめちゃくちゃヒップホップなんだけどHip-Hopではない、そんな1曲となっております。ここまで振り切ったことは本当になかったので新鮮でした。自分たちの曲を作ってもらったから、相手の曲に参加するというのも「Feat.」的なノリを感じるしね笑。Not Friendsって名前もものすごくヒップホップ的。他の部分に力を持ってきすぎて、LOONAの歌詞を確認してないから当てはまるかわからないけど、「フェイクフレンズはいらねえ」とか「有名になったからって寄ってくんな」とか「昔の仲間たちと成り上がる」みたいなfriends関連のヒップホップってどこの国にもあるからね!

 

 

9月の大注目なガールズグループ新曲大戦争、LOONAの第1波は個人的に大満足でした。約10日後の今月の少女の新曲はどんな感じになるのか。そっちも期待して大丈夫?

 

最後にLOONAとライアンジョンによるNot FriendsのApple Musicのリンクを貼っておきます。こういうのってイヤホンで聴いた方が圧倒的にわかるので、ぜひどうぞ!最初の方にも言いましたが、自分は音楽のプロではありませんし、文章力もありません。「こいう何言ってんの?」と思う部分があったと思いますが、1個人の意見としてゆるい気持ちでどうぞ。あとMVやその他に関しては全く触れませんでしたが、すごく疲れたのでご了承を笑。ではまた!

 

LOONAの"Not Friends (Sung by Heejin, Kim Lip, Jinsoul, Yves)"をApple Musicで

 

 

 

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