YUKIKAが「timeabout,」で魅せたスキルの幅。ただのレトロ歌手ではない!

レトロ界の女王?YUKIKA(ユキカ)がカムバック

 

 

韓国の音楽界ではNewtro(ニュートロ)というジャンルが流行っている。アイドルはもちろん、一般的な歌手まで採用しており、新しい世代のアーティストにより現代解釈されたシティポップやディスコファンクなどの曲は懐かしさがありつつも新鮮さもあり、K-Popファン以外からも注目だ集まっている。

 

そんなニュートロが流行り始めた時期に突如韓国の音楽界に出現した日本人がいた。彼女の名前はYUKIKA(ユキカ)、元々寺本來可として日本で雑誌「ニコラ」でファッションモデルや声優業、女優業などをしていた。学業により一時活動休止、2015年に芸能界へ復帰し2016年には

 

韓国で製作予定の「アイドルマスターシリーズ」のテレビドラマ版「THE IDOLM@STER.KR」のオーディションで、唯一の日本人キャストに抜擢され出演が決定。2018年にはITZYのリュジンやLOONAのヒジンなども出演していたMIXNINEにも登場していた。そんな彼女が2019年にESTIMATEエンターテインメントからNEONでデビュー。めちゃくちゃかっこいいレトロスタイルの曲で一気にK-Popファンからの注目が集まった。

 

2020年にリリースしたアルバム「Soul Lady」は各方面から大絶賛。事務所の代表であったESTiのプロデュースでMonoTreeやOREO、TAKなども参加。MVはDegipediが担当しているということで、裏方もK-Popファンから人気のメンバーたちが集まっている。ユキカの実力はもちろんのこと、抜群のサポートメンバーたちによって生み出されたESTIMATE時代のユキカの作品は韓国の音楽界を賑やかした。

 

LEGGOですブログ: 韓国シティポップ界の注目株YUKIKAのアルバム『Soul Lady』は必聴!

 

 

UBUNTUエンターテインメント移籍後、初のアルバムをリリース

 

そんな彼女とESTIMATEによるプロジェクトが終了、ユキカは元マネージャーが作ったUBUNTUエンターテインメントへ移籍をした。シティポップなどレトロなスタイルで有名になった彼女の移籍ということでスタイルが変わってしまうのでは?と思われたが、以前と変わらずニュートロを披露。3月にリリースされた先行シングル「Lovemonth」も相変わらずのスタイルでファンを喜ばせてくれた。

 

 

というわけで今回はレトロ界の女王になりつつあるユキカがUBUNTUエンターテインメントに移籍して以降、初のアルバムとなる「timeabout,」を全曲聴いてレビューしてみようと思う。

 

 

 

 

 

 

YUKIKA - timeabout,

 

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Photo by Twitter(@ubt_yukika)
 

今回のアルバムはミニアルバムということで6曲入り。タイトル曲は2曲目のInsomnia。移籍したということもあり前作のSoul Ladyとは製作陣が全く違う。ただ相変わらずのニュートロっぷりで、ファンの需要に対して的確な供給をしてくれている。

 

というわけで早速1曲目のLeap forward (Intro)から聴いていこう。

 

 

1. YUKIKA - Leap forward (Intro)

 

YUKIKAの"Leap forward (Intro)"をApple Musicで

 

もうイントロ曲から完全にユキカの世界観でレトロ全開。ファンク的なギターリフが効いていて、シンプルなイントロだけどしっかり曲に展開があってかっこいい。高揚感を与えてくれて「よし!ユキカのアルバム聴くぞ!」という気分にさせてくれる。コンサートのオープニング映像のときにLeap forward (Intro)を流したら、場がめちゃくちゃ温まってくれそう。

 

 

2. YUKIKA - INSOMNIA

 

 

テンションが上がったところで今回のタイトル曲であるInsomniaが登場。期待通りの大当たり。レトロ路線はキープしつつも今回はちょっとだけファンク色強め。『YUKIKA=シティポップ』というイメージがファンの中にあって、このスタイルで成功しちゃっていてファンも求めるようになってしまっているのでユキカの自由度が低くなってしまう心配はあるが、スタイルを崩さないレベルでしっかり幅をもたせてやっているのがすごくいい。

 

ぶっちゃけ自分は基本的にシティポップが好きというわけではないし、ニュートロよりもトラップのK-Popの方が好き。そんな自分でもユキカの曲は毎回楽しみだしCDももちろん買っている。サッカーに興味がない人でも他のスポーツに興味がある人だったらメッシの凄さってわかるじゃない?バスケのマイケル・ジョーダンもそう。やばい人の凄さって他のスポーツしかチェックしてない人でもわかってしまうじゃん。ユキカは完全にそっちのタイプ。シティポップのようなレトロな曲をメインに聴いていない人でもK-Pop好きなら勝手に刺さってしまう。そういう壁を超えられる魅力がある。

 

 

Insomnia, where you are

 

というサビ終わりの歌詞、めちゃくちゃシンプルに曲のタイトルで韻を踏む感じが個人的に結構好きです。あとMVがめちゃくちゃ綺麗でかっこいい。ライティングがいいよね。続編も出るっぽいので期待して待とう。

 

ってかユキカの声って凄いよね。先入観があるからかもしれないけど、レトロな曲を歌うために生まれてきたんじゃね?と思ってしまうぐらい全ての曲でビートとマッチしている。少し前にインスタライブで生歌を披露していたんだけど、アカペラでさえシティポップを感じるぐらいだったからね笑。

 

 

 

3. YUKIKA - Lovemonth

 

 

3月に先行シングルとしてリリースされていた『애월(愛月)』が3曲目。英語名はLovemonthでMuizeとSpace Cowboyという韓国のシティポップ会で有名な2名がプロデュース。こうやってInsomniaとLovemonthを連続して聴くと、レトロを感じるという部分は一緒だが曲のスタイルが全く違うということがわかる。この振り幅がリスナーを飽きさせない。

 

この曲の詳しいレビューに関しては以前ブログにしたので、そちらからどうぞ。自分は今の段階だとlovemonth派。まあどっちもめちゃくちゃかっこいいんだけど。

 

LEGGOですブログ: YUKIKAが『애월(愛月)』をリリース。事務所が変わってもシティポップは健在!

 

YUKIKAの"Lovemonth"をApple Musicで

 

 

4. YUKIKA - TIME TRAVEL

 

YUKIKAの"TIME TRAVEL"をApple Musicで

 

めちゃくちゃ爽快!聴いていて気持ちいい!という感想しか出てこないほどの爽快感。アルバム『Soul Lady』でいうところのPit-A-Petみたいな「そういうのも出来るんかい!」枠になるTIME TRAVELはユキカの中でいちばんK-Popらしいキャッチーさを自分は感じた。夏じゃないけど夏のような爽快感。ニュージャックスウィング的な突き上げる音がそう感じさせているのだと思う。ニュージャックスウィングってK-Popと相性が良くて様々な名曲で突き上げる音を使ってるので、そっちの印象に引っ張られるのだと思う。それにニュージャックスウィングって若干の夏感あるし。

 

アルバムの中盤に配置されているってのもPit-A-Petと同じサプライズ感がある。ここらで流れ変えましょか的な。TIME TRAVELというだけあってしっかりレトロなバイブスを感じるのもいい。それでいてしっかり現代的な音だし。山下達郎のアルバム『FOR YOU』をなんかわからないけど思い出した。

 

 

5. YUKIKA - Secret

 

YUKIKAの"Secret"をApple Musicで

 

ねぇユキカちゃん!あなた何本刀差してるの?と言いたくなるぐらい多彩。シティポップウーマンというYUKIKAの印象がこの曲のレビューを書いている段階で崩れそうになってきた笑。今までの曲の中でいちばんK-Popらしい楽しさを感じる。WJSNのようなグループがやっていてもおかしくないようなビート。普通の人間だったらセルアウトしたの?とか思われても仕方がないぐらい一般的なK-Popに寄せていったが、ユキカがやるとスタイルがブレていないのが不思議。レトロな雰囲気も感じるし、やっぱ歌い方がポイントなのだと思う。特徴のある歌い方のままビートが変わっただけだから崩れていないんだよね。

 

 

シティポップとかレトロのイメージが先行しすぎてYUKIKAの自由度が低くなってるのでは?と思ったけど、Secretのような曲を聴かされると無駄な心配だった気がしてくる。完全に幅が広がったし、こういうシンプルに可愛い!かっけえ!みたいな曲があるとシティポップに興味がなかったり、最近のニュートロの流れでレトロなスタイルが気になり始めた人にも受けると思う。シティポップがレトロじゃなかった時代の人だけでなく今どきの子が入る入口になりそう。自分だって山下達郎を思い出したとか言ってたけどFor Youがリリースされたときは産まれてなかったし。

 

 

6. YUKIKA - PUNG!

 

YUKIKAの"PUNG!"をApple Musicで

 

あれだけ暴れておいて最後はレトロに戻るんかい!と思ったけど、PUNG!のビート癖ありすぎ笑。ニュートロはニュートロでも『ニュートロ』でNEWの部分が(RE)TROより完全に強い。軸だけがシティポップ系で他の音はめちゃくちゃ現代っぽい。それに他の曲に比べてボーカルよりビートが強いので、ダイレクトに音を感じる。

 

現代のヒップホップではラップよりビートを聴いている人が多いと言われるぐらいビートが重要というか、そっちのインパクトが強いのね。YUKIKAというアーティストからヒップホップやトラップを感じたのはPit-A-Petだけしかないけど、PUNG!はそれとは違った意味で現代のヒップホップ的な印象を受けた。そういう部分も『ニュートロ』という感想になった原因なのだと思う。

 

 

 

 

 

幅が広がり、完全に次のステージに行かれたユキカ大先生

 

Lovemonthがそうだったので、完全にシティポップを歌っているYUKIKAを想像してアルバムを再生してみた。完全に裏切られたよね。A面で王道を見せておいてB面暴れてくる笑。

 

確かにレトロを感じるし軸はブレていない、だけど完全に表現の幅が広がっている。Soul Ladyは1つの軸で1つの物語、1人のYUKIKAを感じたのに対して、timeabout,はユキカがYUKIKAとして表現することが出来る音楽を感じることができた。これが自分の感想。

 

 

YUKIKAはただのレトロ歌手ではなかった

 

YUKIKAの幅を狭くしていたのはファンの勝手な妄想で、実際は全く幅が狭いなんてことはなかった。シティポップという狭い枠でも、レトロというざっくりした枠にも当てはならないアーティストになっていく可能性がめちゃくちゃ高い。BLACKPINKがヒップホップスタイルのアイドルという印象をなくすのに数年かかった。TWICEも大衆的でキャッチーな曲ばかり作るアイドルというからアーティスト的な印象を持たせられるまで結構かかった。

 

「YUKIKA=シティポップ」というイメージはまだまだあるし、今回もそっち系の曲は多かった。ただ今回のtimeabout,の流れを考えると次回の作品でさらにK-Pop的な曲が収録されていたとしても不思議じゃないし、違和感もない気がする。それぐらい自然にTIME TRAVELもSecretも入ってきた。事務所が変わったから曲の雰囲気が変わったというわけでなく、単純に表現の幅を広げたというのが自分が受けた印象。シティポップの注目株!レトロ歌手のYUKIKA!みたいな印象はなくなりつつある。このまま行けばアーティストのYUKIKAというイメージに変わっていくだろう。と思わせてくれる上で軸は一切ブレていない。ここポイント。

 

ESTIMATEの作品もUBUNTUの作品もかっこいい。ユキカ、末恐ろしい子

 

 

 

というわけで今回は以上です。最後にYUKIKAの最新アルバム「timeabout,」の全体のリンクを貼っておきますので、ぜひ聴いてみてください。ではまた!

 

YUKIKAの「timeabout, - EP」をApple Musicで

 

 

 

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