アイドルの域を完全に超えているNCTの新しいアルバム『RESONANCE Pt. 2 』

王道事務所の異色グループNCT

 

K-Popの中でいちばん王道だと思う事務所はどこですか?自分ならば即答でSMエンターテイメントと答える。日本人である自分が最初にがっつりK-Popの波を感じたのは2010年。この年に日本でKARAと少女時代がデビュー。その後、様々なグループが日本で活動をすることになり、K-Popの波が日本に押し寄せることになった。これ以前にもBoA東方神起、BIGBANGなどがすでに日本で活動をしていたし人気も獲得していたが、やはり大きな波を作ったきっかけはKARAと少女時代だろう。そんなこともあり自分の中では少女時代というグループがK-Popの1つの象徴というイメージがある。これぞK-Pop的な。そんな少女時代が所属するのがSMエンターテイメント。さらにBoA東方神起SMエンターテイメントということで、日本におけるK-Popの活躍にSMエンターテイメントは大きく貢献をしている。

 

その後デビューしたSHINeeやRed Velvetも大人気。これらのグループは少女時代などに比べると攻めた曲作りをしている印象があるがあくまでもK-Popで聴きやすいというイメージがある。f(x)はSMにしてはかなり実験的なイメージがあるが、BIGBANGや2NE1などに比べるとキャッチーで王道な印象がある。そんなまさにK-Popという曲を量産しまくっているSMの中でかなり異色なグループが2016年にデビューした。それが今回紹介するNCTだ。

 

 

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NCT UがThe 7th Senseでデビュー。トラップに影響を受けたハードなビートが特徴的。今でこそトラップの要素を取り入れた曲はいっぱいあるし、攻めた曲でデビューするグループもいっぱいいるが2016年ではこういうわかりやすく盛り上がる曲じゃない作品でデビューしたNCT Uはめちゃくちゃ新鮮でかっこよかった。さらに当時NCT Uは番組や歌番組などの衣装でドリスヴァンノッテンロエベをよく着用していた。自分のよく着ているブランドだったので、たまたまNCT Uのメンバーとお揃いになった服が結構あった笑。そんなこともあってデビューがすごく印象に残っているグループの1つである。

 

NCTがデビューして4年。今ではNCT Uに加えて、NCT 127、NCT DREAMNCT 2018、WayVと様々なグループが登場。今年の10月12日には23人になったメンバー全員が参加するプロジェクト『NCT 2020』が始まった。人数が多くてユニットがいっぱいあるグループというだけでなく、メンバーの出身地も様々。韓国はもちろん日本に中国、アメリカ、カナダ、タイ、マカオ、香港と国際色がめちゃくちゃ豊か。どんどん拡大していくNCTという異色なグループが王道事務所であるSMに所属しているのは面白い。まあSMという大きな事務所だからこそ、こういったプロジェクトができるのだとは思うが。K-Popのガールズグループの中ではLOONAがものすごく異色だが、NCTはLOONAとは違った意味で異色。異色の異の出し方が違う。ただ2組ともK-Popアイドルというイメージではなく、コンテンツという感じがするのは同じだと思う。NCTというコンテンツを売り出しているという感じがものすごくする。それが自分はめちゃくちゃ好き。日本だとAKBや坂道、EXILEハロプロなんかも拡大していっているが、NCTの広がり方とは全然違う。本当に特徴的なグループだ。説明がややこしいのでここでは省くが、NCTのことをあまり知らないけど気になる!という人のためにウィキペディアを貼っておくので、NCTの異色っぷりを知りたい人はどうぞ。

 

Wikipedia: NCT (音楽グループ) 

 

 

 

グループとしての異色っぷりを紹介したが、このブログでは音楽面に注目していきたい。先ほども述べたようにNCT UのThe 7th Senseは音楽的も攻めていた。デビューだからガツンといっちゃおうぜ!的な曲で終わることはなく、NCT 2020となった今も音楽がとにかく攻めている。自分の中でNCTはアイドルではなくアーティストと言った方が完全にしっくりくる。アイドルがカムバックした!ではなく、アーティストが新曲をリリースした!という感じ。NCTはどのユニットもマジでハード。というわけで今回は先日リリースされた『NCT RESONANCE Pt. 2 』を紹介しようと思う。

 

 

 

 

 

 

NCT - RESONANCE Pt.2

 

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Photo by Twitter(@NCTsmtown)

 

今回紹介するRESONANCE Pt.2は10月にリリースされたPt.1の13曲に新曲をプラスした全21曲のアルバム。リパッケージやデラックス版的なノリだが8曲もプラスされちゃってるので、その規模は余裕で超えている。そんなこともあるし収録されている曲の内容的にもPt.2という捉え方で十分しっくりくる。

 

今回はRESONANCE Pt.2の中から現時点で特にお気に入りの曲をピックアップして紹介していこうと思う。お気に入りのみである理由は単純に曲が多すぎるから笑。前回のアルバムになるRESONANCE Pt.1をこのブログで紹介していないので、前回の作品も普通にピックアップしていく。曲順は今回の作品から。というわけで早速様々な意味で異色なグループであるNCTの曲を紹介していこう!

現時点で特にお気に入りのものだけなので、後々めちゃくちゃ好きになった曲に関しては後でプラスしていくかも?

 

 

1. NCT U - 90's Love

 

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K-Popと抜群の相性を誇るニュージャックスウィングを取り入れた今回のタイトル曲。90's Loveという通り、当時のスタイルであるニュージャックスウィングを持ってきているのだがNCT Uの場合はちょっと違う。他のニュージャックスウィングを取り入れたK-Popの曲に比べてかなりアレンジされている。完全ど直球じゃないのだ。確かに要素はめちゃくちゃ感じる。メインの要素と答えていいだろう。でもあくまで全振りではなく現代のK-Popに取り入れたという感じ。自分たちでニュージャックスウィングを解釈をして、それをアップデートし90's Loveとして提供されている。解釈の仕方も特徴的。やっぱり異色。やっぱりハード。

 

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先ほどNCTと同様に異色なグループとして紹介したLOONAもニュージャックスウィングの曲をリリースしており、こちらは結構直球な感じ。2曲を比較して聴いてみると、NCTの取り入れ方がかなり癖のあるものだとわかるだろう。90's Loveという現在の人が見た90年代と捉えることができるタイトルから解釈できる通り、NCT 2020なのだ。90's Loveじゃなくて90's Eraとか90'sとかだったら直球になるだろう。あくまでLoveであるのが曲のスタイルからもわかる。

 

 

 

あとK-Pop好きで有名なオカモトレイジがこの曲についてツイートをしていたので紹介しようと思う。

 

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オカモトレイジのツイートにもある通り、別にパクリとかそういうのじゃない。でもこういうのってK-Popしか聴いていない人だと馴染みがないと思うけど、K-Popではよくあることなので自分も紹介しておこうと思う。ヒップホップ界で当たり前のように認知されている手法の1つとしてサンプリングというものがある。ざっくり言うと既存の曲の一部を切り取って作り替えたり、そのまま使ったりする手法で昔のものを使って新しいものを生み出す方法。ざっくり説明するとこんな感じ。この他にも弾き直しとか色々あるけど、ややこしくなっちゃうのでこのブログではサンプリングという言葉でまとめておく。オマージュなんかもサンプリングってことにしておく。

 

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今回のNCT UとBell Biv Devoeのパターンと同じなのがEXIDのHot Pink。この曲の特徴的なイントロの音はBob JamesのTake Me to The Mardi Grasが元ネタ。こういう直接的なものからかなりアレンジを加えたものまでK-Popでは本当にたくさんある。マジでヒップホップの次ぐらいにあるんじゃないか?と思うぐらい。EXIDは特にサンプリングを使った曲が多い。K-Popファンはそんなこと意識してないでしょ。

 

LEGGOですブログ: VMAsのMissy Elliotを見ていたら、EXIDのHOT PINKを思い出した件

 

 

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再びEXIDのことになるがI Love Youの3分の1を占める「I love you like ...」という音。これも実はサンプリング。めちゃくちゃ大胆に使っているのでEXIDのオリジナルのような気になっている人も多いだろうが、これにもちゃんと元ネタというものが存在する。I Love Youをリリースした数年後にこんなことがあった。EXIDのメンバーのSNSなどに「海外のアーティストにEXIDのI Love Youがパクられてますよ!」という内容のもので、I Love Youと一緒のフレーズが海外でがっつり使用されているというものだった。EXIDのパクリだ!というコメントがあまりにも多かったのか、のちにLEがツイッターでこのことに発言することになった。その内容が「I Love Youのあれは自分たちもサンプリングなのでパクリじゃないよ。使用料を払ってEXIDも使用しました」というような内容だった。自分のようなヒップホップ好きの人や音楽に詳しい人はI Love Youを初めて聴いた時から、おそらくこれはサンプリングとわかっただろう。それぐらいサンプリングらしい雰囲気がプンプンするものだった。しかしサンプリングというものを知らない人からすると、同じネタを使うという概念すらないだろう。だからこういうったことが起こったのだと思う。

 

 

こういう元ネタを使った遊びというものが存在するということを実際に音楽に携わっている人が説明してくれているのは本当にありがたいことだし、これをきっかけにニュージャックスウィングに興味を持ってもらえたら嬉しいという発言の本当にそうだと思う。K-Popは様々なことに繋がるのが面白いと自分も思っているから。なのでオカモトレイジ大先生に倣って、自分もニュージャックスウィングのオススメの貼っておきます笑。当時のもの、比較的最近のもの、K-Popの3種類を。90's Loveが好きだった人はぜひ聴いてみてね!

 

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2. NCT U - Misfit

 

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90's Loveのニュージャックスウィングに引き続き、2曲目のMisfitではブーンバップを採用。オールドスクールな雰囲気の曲が2曲続く。トラップが世界中で蔓延している2020年にブーンバップを取り入れてくるNCT U。圧倒的にK-Popでもトラップばっかりだから、こういう部分も異色といえるだろう。お久しぶりな感じのK-Popを聴きたい人には特にオススメ

まあ最近逆を行ったろ!的な感じでブーンバップの曲もNCT Uだけじゃなくヒップホップでも若干増えてきたけどね笑。

 

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3. NCT U - Raise The Roof

 

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てめえらさっきまでの流れはどうした!!!とツッコミたくなるぐらい今っぽい曲に急になる笑。ブーンバップからトラップに変わっちゃってるし。2020年らしいアグレッシブなK-Popの曲で自分はかなり好き。細かいこと気にせずにとりあえず聴いて楽しもうぜ系。なのでコメントももう終わりです。ちなみに4曲目のVolcanoも似たテンション。

 

 

5. NCT U - Light Bulb

 

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綺麗なメロディーと歌声、それにラップが特徴的な1曲。テンション的には00年代にあった歌もの系のヒップホップのテンション。スタイルは違うけどNellyDilemmaとかBow WowLet Me Hold You的なテンションで自分は聴いている。かなりお気に入り。

 

この曲はRESONANCE Pt.1にも収録されていて、そのときからずっと気になっているけど思い出せないことが1つある。この曲のメロディー絶対元ネタがあると思っている。どこかで聴いたことある気しかしない。でもそれが何の曲なのか思い出せない。「nct light bulb sample」とかで検索しても出てこないし。元ネタがわかる人いたら教えてください。早くスッキリしたい笑。お気に入りでかなり聴いているので、もう元ネタのことなんて忘れてオリジナルだという感覚になってしまいそう。まあ元ネタがある気がするだけなので勘違いかもしれないが。

 

 

8. NCT U - Interlude: Past to Present

 

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前回から思っていたけど、Interludeにしてはカッコよすぎる1曲。意外とK-PopのアルバムでInterludeが入ることは少ない。まあそもそもフルアルバムが少ないからってのもあるけど。それにアイドルのアルバムだったら全曲歌ありにしてほしい!というファンも多いだろうし。でもNCTは入れてきた。それも抜かりのない完璧な曲を。えげつないね。曲の繋がりも今回のPt.2の方が個人的に好き。

 

 

 

 

9. NCT U - Make A Wish (Birthday Song)

 

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今になって紹介する必要ないでしょ!って感じだけど、やっぱりこの曲かっこいいよね。口笛の音で始まって、口笛の音で終わる曲。まずこれがかっこいい。ビートが変化していくのはいかにもK-Popって感じなんだけど、Make A Wish (Birthday Song)の場合はそれが物語というか1つのストーリーのように自分は感じる。1曲の中に起承転結があるというか。結構しっかりビートが変化していく割に、えげつないレベルで自然に進んでいく。とりあえず派手にしてやろうぜ!という感じではなく、めちゃくちゃ計算されているのがど素人でもわかる。ど素人が上から目線みたいになっているのは間違えているのはわかるけど、あえて言わせてもらうとNCTのポテンシャルを感じた1曲。まあThe 7th Senseのときからずっと感じてるんだけど、まだまだ終わりが見えない化け物ポテンシャルだと改めて感じさせてもらいました。現代のストリーミングの時代のK-Popやヒップホップに慣れすぎて3分後半の曲ですら長いと感じちゃう耳になってしまった自分だけどこの曲は余裕で聴けるし、なんなら4分超えてもいいトラックだと思った。

 

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14. NCT U - From Home

 

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ある意味問題作であるFrom Home。10月のお気に入りのブログでも紹介したFrom Homeは自分がK-Popでやって欲しかったことを実現した1曲。国際的になったK-Pop界。メンバーの国籍もバラバラでここ数年にデビューしたグループに外国人メンバーがいる確率はかなり高い。そんな現代のK-Pop界だからこそ、各自が自分の国をレペゼンした曲があってもいいと思っていた。自分が想像していたのはグループの挨拶的な曲だったので、NCTのような歌モノではなかったが、From Homeというレップするには抜群の内容だったので一切気にならないし、なんならパーフェクトだったと思う。こういうのは最初にやった人の勝ち。これ以降は基本NCTの後追いになる。そういった意味でも問題作。下手したら将来のK-Popのスタイルにおいて大きなポイントになる可能性がある1曲。リアルタイムで聴けたことは大きな意味を持つかもしれない。あと普通に曲がいいのもポイント笑。

 

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20. NCT U - I.O.U

 

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ビートが特にお気に入りの1曲。lofi hiphop的な雰囲気も若干あるが、自分としては下に貼った動画の曲のようなテンションで聴いている。I.O.Uは歌が乗っているが、歌なしでも全然楽しめるようなビートでものすごく聴き心地がいい。1番はずっと歌ってたのに2番になるとビートの変化に合わせてラップを始める部分もすごくかっこいい。そこまでビートは変化していないのに歌い方を変えるだけでこんなにも躍動感を出せるなんて面白いよね。完全にB面の曲なんだけどただのB面にしては渋すぎる1曲。この曲がいちばん好きって人も多そう。

 

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曲数が多くても一切クオリティが落ちないNCTのアルバム

 

K-Pop関係なく現代ではリパッケージやデラックスバージョンといったアルバムがめちゃくちゃ多い。そういった作品は曲数が多い代わりに捨て曲があるということが正直言って結構ある。NCTは比較的曲のリリースが早い方なので捨て曲があっても一切文句はないし、仕方がないことかなと思う。なのにアルバムを実際に聴いてみると捨て曲がない。今回は特にお気に入りのものだけを紹介したので、収録曲の半分弱しか紹介していないが他の曲ももちろん普通に聴いている。アルバム全体としてお気に入りなのだ。ミニアルバムが主流のK-Popで21曲入りのアルバムが全体通してかっこいいというのは本当にすごいと思う。しかも攻めたスタイルの曲が多いのに。NCTはやっぱりアーティストだな〜と再認識することになったアルバム『NCT RESONANCE Pt.2』は本当にオススメの作品だ!

 

 

というわけで今回は以上です。27日にはWork ItのMVが公開される予定なのでそちらも楽しみ。最後にアルバム全体のリンクを貼っておくので、ぜひ全体を通して聴いてみてください。ではまた!

 

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Apple Music: NCTの「NCT RESONANCE Pt. 2 - The 2nd Album」

 

 

 

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